地中海でいちばん大きな島、シチリア。
シチリアは私が初めて訪れたイタリアでした。
そう、ローマでもミラノでもフィレンツェでもなく、シチリア。
もう10年以上前の1999年のことです。
ここはカルタジローネ。
陶器で有名で、街のあちこちに陶器やタイルが使われていますその後、何度もこの地を訪れることになるのですが、
はじめての旅は本当に衝撃的でした。
私がイメージしていたイタリアとは
あまりにもちがっていたから。
良い意味で裏切られたというか・・・
その混沌としたような独特な文化も、
自然の美しさも、食も、人の濃さも・・・
あとから知ったことですが、
シチリアをイタリアとは呼べないと言う人も多いとか。
それほどイタリアの他の州とはちがうということでしょうか。
タスカ家はシチリアでも有数のワイナリーそのちがいの背景には、
シチリアがたどった複雑な歴史によるところも
大きいのではないかと思います。
地中海の要所で、
豊饒なこの島を支配した国々は、かるく20を越えるそう!
ローマ帝国はもとより、
ギリシャ、アラブ、フランス、スペイン、ノルマン系など、
さまざまな文明、人種が入りまじり、
シチリアに独特な文化をもたらしました。
海のイメージが強いけれど、
内陸部にも豊かな自然が。春先のシチリア食文化も例外ではないでしょう。
この小さな島でも、沿岸部と内陸部は全然ちがうし、
海沿いの町も東西南北それぞれ特徴があり、
本当に興味が尽きないのです。
何を食べても心を揺さぶられるほど美味しく、
食べても食べても、
もっと食べたいと思いました。
レストランでもバールでもB級グルメでも、
私の「食べたい」好奇心は尽きませんでしたが、
どこより美味しいと思ったのは、
友人宅に招かれていただいた家庭料理でした。
地元で採れた旬の食材で作ってくださったお料理の滋味深さ。
初めて食べるものばかりなのに、
なぜか懐かしい味がしたのが不思議です。
幼い頃、祖父母や両親が作ってくれた家庭料理に
共通するものがあったのかもしれません。
シチリアは、イタリア人が選ぶ、
「イタリアで一番おいしい州」なのだそうです。
まあしかし、出身地を熱愛するイタリア人のこと、
きっと、「自分の州以外で」という但し書きがつくのでしょうけれど。
友人宅のランチのあと出されたお菓子。
クリームには脂肪分の少ないリコッタチーズが使われていました。
シチリア名品のカンノーロにもリコッタチーズのクリームがたっぷり!
私のつたない言葉では語りつくせない魅力に満ちた島、シチリア
南イタリアのこの小さな島に、
もしかしたら、私は人生観を変えられたのかもしれません。